デジタル撮影

 ついこのあいだまでは、広告やデザイン用の写真はアナログ撮影(フィルム)が中心だった。撮影が終わるとだいたい翌日には現像の上がったポジフィルムが届けられた。ライトテーブルにポジを広げて、撮影に立ち会ったときの印象を確かめる。撮影が済めば、次の段階は印刷。その仕上がりイメージなどを予想しながら、ベストポジにダーマトグラフで二重丸を付けたりする。一種の儀式のようでもあり楽しいもの。

 最近は、現像済みのポジフィルムに変わって、データを書き込んだディスクとプリントアウトが届けられる。とくにこの二年ほどのデジタル化の速度は凄まじい。二三ヶ月の間を空けただけで撮影現場の様相がガラッと変わっていたりする。

 ところで、文字や図形に比べると、写真などの画像データは桁違いの容量になる。パソコンが大容量のデータを保存できるようになったこと、またメモリーも演算機能も充分な能力を備えるようになって実用になったのが、この数年の変化である。もちろんカメラ本体などの機器の進化もめざましい。結果、撮影のスタイルも実務も大きく変わった。カメラマンにとって、この変化に背を向けることは、かなりの決断と勇気が必要だろう。

 大きな流れで見れば、グラフィックデザインの分野で、この十数年の間に押し寄せたビットの波が、やっと写真の世界にもおよんできた、といえる。その流れの中で、作業はどんどん効率化されるだろう。また、デジタルならではの表現世界ももっと広がるだろう。

 ものづくりの根本にセンスが必要なことに変わりはないが、そのセンスの有り様は、この大きな流れの中で、だんだんと変わるかもしれない。ビットの波は、発想そのものも変えてしまう力を持っている。

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