色覚のシミュレーション

20080417_yamabuki-Ctype.jpg 20080417_yamabuki-Ptype.jpg

今回も色覚の話の続き。
色覚とひとくちに言っても、いくつかのタイプがあることは前回に書いた。
  ・C型(一般色覚)
  ・P型(色弱全体の約25%)
  ・D型(色弱全体の約75%)
  ・T型(色弱全体の約0.02%)
この4つに分かれるが、このうちP型とD型の場合は赤と緑がほぼ同じ色に見える。
と言われても、さて実際にどう見えるのか、一般色覚の目からはなかなか想像できない。
 デザインをする際も気をつけようとは思うものの、いつも色覚のフィルターを意識するのは容易ではない。ところが、いまはこの色覚の違いを簡単にシミュレートできる便利なソフトがある。今回は、東洋インキ製造の「UDing Simulator」というソフトを使って試してみた。

 上のサンプルは前回の記事の「YAMABUKI」のオリジナル(左)とP型にシミュレートした画像(右)。黄はやや濃くなっているが色相の変化は少ない。それに対して緑色系統のマスは見事にオレンジあるいは茶に変わってしまう。各色の明度差はほぼ保たれているとはいえ、色合いのコントラストをつける意味合いもあった緑が黄からオレンジの同系色内に取り込まれている。
 春気分の山吹が一気に秋の気配になった、と呑気にいえる場合は良いが「何か」を伝えようとするには、やはりまずい。

20080423_seisanki_org.jpg 20080423_seisanki_Dtype.jpg

 つぎは、駐輪場の清算機の表示。一般色覚のC型(左)では良く「色分け」されている確認、訂正、領収書のボタンがD型の色覚(右)では見事に一緒になる。もちろん一般色覚でも「赤が訂正・オレンジが領収書」という社会コードが成立しているわけではない。だから文字表示はもちろん必要だし、色覚の異なる人でも文字の助けでなんとかはなる。そうなると、こんどは「より読みやすい書体や大きさ、色」といった課題が浮かんでくる。


My_Jam_Ctype.jpg My_Jam_Dtype.jpg

 最後は、もう20年以上も昔にデザインしたジャムの瓶のラベル。これをD型にシミュレート(右)。
 ストロベリージャムの苺の赤味がみごとに抜け落ちて褐色になる。色覚の違う人にとって、このストロベリージャムの苺の赤が変わってしまうことは、デザインした当時から分かってはいた。が、やはり苺は苺らしく鮮やかな赤を映し出して欲しいのが心情。写真の撮影も印刷の現場でも、その赤を如何に美しく表現するか、ずいぶんと知力も体力も使ったし。

 色は美味しさ感を表す上でとても大事なものである。ただ色覚の違いという観点から見ると、その色の美味しさ感の基準も一様ではないと気づかされる。
 色の持つ記号やシグナルとしての情報の確実性と、色によって引き出されるヒトの感覚的認知の違い、この両面に配慮しなければならない。さっ、もっと勉強しよう。

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